乳がん

乳がんは、日本では、死亡率・罹患率ともに右肩上がりが続いていて、現在では毎年約3万5千人が乳がんにかかり、亡くなる人も1万人に近づいているといわれています。今や乳がんは、日本の女性が最もかかりやすいがんであり、30代に入ると、子宮がんよりも乳がんの方が何倍も確率が高くなるのだそうです。最近では乳がんの増加も欧米化が指摘されていて、高齢者の乳がんも増える傾向にあるといいます。この背景にあるのは、日本人のライフスタイルや食生活の欧米化も原因のひとつといわれています。乳がんは女性ホルモンと密接に関係している病気であり、最近の非婚傾向や高齢出産などのライフスタイルの変化は、乳がんの統計にも影響を与えているといえます。また、食事の上で動物性たんぱく質の摂りすぎは、乳がんだけでなくいろいろな病気で指摘されていますが、食生活の変化に伴って日本の乳がんは増え続け、2015年には、乳がんにかかる人は年間5万人に到達するのではないかと予測されています。

乳がん自己触診

乳がんの自己触診は、まず大きな鏡の前に立ち、乳房をよく観察しましょう。そして乳房の形、色、ひきつれ、くぼみ、左右の乳頭の位置などをよく確認することです。両腕を上げた状態や下げた状態の両方もチェックしましょう。腕を上げると、ひきつれやくぼみが強調されて、分かりやすくなることがあります。次に、乳房に指をすべらせて、しこりが無いかを調べます。お風呂で石鹸などをつけ、指先で小さな円を描くようにして、乳房をくまなくすべらせるとよくわかります。乳房が大きい人は、仰向けに寝て、乳房を平らにするとわかりやすいでしょう。乳がんは外側の上部にできやすいので、その部分を特に念入りにチェックするのがポイントです。また、わきの下にもしこりがないかどうか、乳頭から異常な分泌物が出ていないかどうかなどもチェックしてください。こうした自己触診を1ヶ月に1回行うことをおすすめします。行う時期は月経後1週間目位がいいでしょう。閉経後の人は、毎月1日など、覚えやすい日を決めて、定期的に行ってください。 自分の乳房の普段の状態を覚えておくという意味でも、自己触診は大切なのです。

早期発見の重要性

乳がんにはさまざまな性格の細胞があるといいます。また、幸いなことに、乳がんは他のがんに比べてゆっくり増殖するものが多く、なかには小葉や乳管の中だけに拡がり、乳管の外には拡がらないものもあります。ですが、多くのがんは乳管とまわりの基底膜を破って浸潤がんになっています。がん細胞が体の各所に拡がると身体の正常な働きを妨げ、治療をせずに放っておくと、がん細胞が周囲の組織に拡がってリンパ管を通り、わきの下(腋窩)のリンパ節や鎖骨の上のリンパ節、あるいは血液を通って骨、肺、肝臓などの臓器へ転移し、命を脅かすことになるのです。 このような事態可能な限り防ぐために、できるだけ早く治療を開始しなければなりません。また、しこりが少々大き目であったり、転移などが認められた場合でも、最近は、後で述べるように手術と他の治療法(化学療法 やホルモン療法、放射線照射)を組み合わせて治療効果を高めることが可能になってきています。何よりも早期発見できるように自己触診や定期的なマンモグラフィなどの検査を必ず受けていただきたいと思います。

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